2022.08.10Blog
私は究極の機械オンチである。
知っている言葉は「クリック」「タップ」「ダウンロード」「アップ」「インストール」くらい。
最近よく導入されている〝紙を使わずネットで〇〇できます〟といううたい文句や、〝お困りの際はネットのチャット形式でご質問ください〟などの案内も、私にとってはただの「不親切な丸投げ」としか思えない。
一方、私の父親は究極の料理オンチである。
ごくごく簡単な料理さえも自分で作ることができないばかりか、いわゆる「ちょい足し料理」のようなアレンジもまったくできない。
私と父の苦手分野に共通することは、とにかく「思いつかない」ことである。
「こうしてみたらどうかな」とか「こうなるかもしれない」という想像が、まったく、本当にまったく頭の中に浮かんでこない。
当然ながら、今まで経験してきたことに関しては不器用ながらも経験値を活かして対処できるのだが、自分とあまりにもかけ離れた分野に関しては本当に苦手意識がいつまでもいつまでも抜けない。
「こんな簡単なこと、説明しなくても分かるでしょ」
知っている人から見れば些細なことでも、知らない人は本当にまっっったく理解していない。
「こんな簡単なこと、説明しなくても分かるでしょ」
これは、悪魔の言葉だと思う。
自分が知っているからといって、また世間が話題にしているからといって、全ての人が理解していると捉えるのは甚だおこがましいことである。
想像さえもできないほどにその分野について全く知らない人が、この世にはまだまだ多く存在するのだ。
〝皆さんご存知の〟みたいに振る舞うことで相手のプライドを守ろうとする傾向が最近あるけれど、みんな知っているようで知らないことだらけであるということにもっと気付こう。
そして、たとえ相手が自分の知っていることを説明しだしても「それ私知ってるし!」という態度ではなく、再び「そうだった!」と共感しよう。
私は毎日のように、飼い主さんに以前も言ったであろう説明を何度も繰り返す。
人は忘れるし、距離を置くと興味も薄れてしまうものである。
同じことを何度も言っていい。
母親のように何十回、何百回言ってもいい。
いつかその人の心や経験とピッタリ合うタイミングが来たときに、きっとその言葉がパズルのピースのようにハマることになるから。