2022.08.25Blog
時計が動かなくなったので修理をしてもらった。
電池が切れたのだと思って電池交換に出したら、歯車を動かすためのオイルが悪くなっているのでオーバーホールしなければならないと言われたのだ。
オーバーホールのお値段6万円。
内部の細かいメンテナンスから外装の洗浄・塗装までトータルケアである。
電池交換だけで1万円と言われていたので、6倍で全部のケアをしてもらえるのならそのくらいが妥当だろう。
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と、思えるようになったのも、私がグルーマーの仕事をポリシーを持って長年やってきているから。
時計の内部は本当に精密だ。
熟練の技が必要なのは言うまでもない。
たしかに昔なら
「6万円あったら、安い時計何個買えるねん!」
とかツッコんでいただろう、恥ずかしながら。
トリミングに関しても、いまだに
「人間のカットより高いよね〜」
と言う人たちは一定数いる。
そういう人たちは『技術職』というものを理解していない。
たとえば扇子なんて、今や百均でも売っているのに京都の老舗扇子屋の扇子が何万円もするのは、素材からこだわり、すべて手作業で職人が作っているからであり、陶器やガラス細工、鮨などにも同様のことが言える。
機械が作ればそりゃ安い。
かな型を作ったり設定を決めればあとは人件費もほとんどかからずポンポン作っていってくれるのだから。
けれど、私たちがやっているのはそういうことではない。
目で見て、耳で聞いて、鼻で捉え、指の先で感じながら、ひとつひとつ丁寧に手作業で仕事を進めていく。
つまり、機械が決してできない繊細な技術に対してお金を頂いているのだ。
それは安く売ってはいけないものだと思う。
鮨にしろ陶器にしろ扇子にしろガラス細工にしろ、トリミングにしても、あなたが同じ技術を持って初めて、値段に対する物言いができる資格を持つ。