皆さん、プードルカットというとどんなスタイルを思い浮かべるだろうか
こんな感じのお顔を思い浮かべる人が多いのではないだろうか
このカットスタイルは〝テディベアカット〟と言い、日本人のトリマーが考案したとされている
流行り始めたのはここ20年~30年ほどで、このカットスタイルによってレッドフォーン(以前はレッド)やオレンジフォーン(以前はアプリコット)の色のプードル人気に火がついた
とても可愛らしいスタイルなので人気が出るのもうなずける
ただ、このカットがプードル本来のカットではないのだ
プードルは本来水猟犬で、人が水辺に撃ち落とした獲物を泳いで回収する仕事をしていた犬種である
泳ぐために邪魔な部分の毛は短く、そして水で冷やされにくいように内臓や関節のまわりの毛は長く残したのがプードルカットの始まりなのだ
これを元として考案されたペットカットスタイルは、顔と足先と尾軸はバリカンで短く刈り取るスタイルで、いちばんポピュラーなものがケネルクリップ(またはラムクリップ)
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そしてサマーマイアミクリップ
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いちばん汚れやすい口まわりと足の先、そして肛門やペニスまわりをすべて短く刈り取るため、清潔でお手入れがしやすく、とてもプードルらしさ溢れるスタイルである
ただ、地肌を丸見えにするということはその個体の骨格構成や体躯構成をさらけ出すということに他ならない
たとえば足の先ひとつ取っても、骨格によってこんなに違うのだ
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(※毛色によって違うというわけではありません、あくまで個体差です)
黒い足のほうは肉球に厚みがあり、足の握りが良いので、足先をバリカンで刈り取ってもぷっくりとして可愛らしいが、茶色い足のほうは肉球がぺったんこで足の握りが悪いため骨が目立ってしまい、こうなると「鳥の足みたいだから嫌だ」という意見も多くなってしまう
骨格構成は当然生まれつきのものなので、子犬を選ぶ以前にそういったところまで見る目を養っておく必要があるのだが、その話はまた後日にするとして、たしかに今一般家庭で飼われているプードルの中には顔バリカンや足先バリカンが似合わない骨格構成の子も多いため、それを隠すことのできるテディベアカットは条件にピッタリなスタイルと言えよう
しかし、ご自身がプードルのオーナーである方、もしくは今からプードルを飼おうと考えておられる方がもしおられたら、流行りのカットやペットと泊まれるペンションを検索する前にまずはプードルという犬種がどういうものかを検索していただきたい
もちろんほかの犬種も同様である(※ミックス犬には犬種標準がないのでこの限りではない)
それぞれの犬種がうまれた用途や目的、なんの能力に長けていて、どういう性格の特徴があるか、理想の骨格構成やサイズ、毛色・毛質などなど、知れば知るほどその犬種を客観視することができ、多くを理解したうえでご自身の愛犬に接することができる
ペットカットはもちろんとても可愛らしい
トリマーである私自身も、様々なスタイルにカットできることは楽しくて幸せである
何よりプードルは無限大と言っていいほどありとあらゆるカットスタイルが楽しめる犬種でもあり、それがプードルの大きな魅力のひとつでもある
ただ、何も知らず、何も知ろうとせず、テディベアカットのことを「プードルカット」と言ってしまうオーナーさんが少なからずおられることに少し不安を感じてしまったので、流行りにまかせて流行りの犬種を飼うことには警鐘を鳴らしたいなと思った次第である
だって、顔バリカンをした私のプードルを見て「それは何ていう犬種ですか?」って聞くんだもの
アナタがいま抱いておられる、その、テディベアカットの子と同じ〝プードル〟ですよ〜