【のだめカンタービレ】というドラマをご存知だろうか
原作はコミックで、ドラマ化および映画化されている
主人公『野田めぐみ(←通称のだめ)』は音大生
実家はお金持ちではないが、幼い頃からピアノの才能があり、音大に入学する
そこで指揮者を目指す千秋先輩と出会い恋をして、なおかつ自身の夢や目標に立ち向かっていくさまと、彼女を取り巻く音大生たちとの愉快かつ情熱的な人間模様を描いたストーリーである
その話の中に『アナリゼ』という言葉が出てくる
『アナリーゼ』とも言い、英語で言えばanalyze(分析する)という意味である
楽譜のこの部分のクレッシェンド、フォルテ、ピアノ、スタッカートは作者のどういう意図があって記されたのか、この作者が生きた時代背景やピアノの性質はどんなものだったのかなど『この曲の作者だったらどのようにこの曲を表現するだろうか』と考え、タイトルの意味をイメージし、たとえ完全なる正解が分からなくても忠実に再現する努力をすることでその曲と作者に敬意を払う
これがアナリゼなのである
これは、私たちが犬種スタンダードを読んで分析することと非常によく似ていると思う(ここでは割愛するが、落語の世界にも似たような部分があると私は思っている)
犬種スタンダードには、失格となるポイントははっきりと書かれているが、完全な正解は明言されていないことが多く、文章をどう捉えるかが読み手によって異なる場合もじゅうぶんに有り得る
その中で正解をイメージしながら、スペシャルブリーダー達はそれに近づけた個体の繁殖を目指し、プロフェッショナルハンドラー達はさらに洗練された完成形へと犬たちをトレーニング&トリミングし、魅せる
「スタンダードなんて、誰も気にしてないよ」
「ペットなんだから、ブサイクって言われても私たちにとっては大切な家族なんだし、スタンダードなんて興味ない、関係ないよ」
今はそういう人たちが大半だろう
今、この世に生を受けて、めいっぱいの愛情を受けている犬たちは、たとえスタンダードから外れていたとしてもそのまま惜しみなく愛情を注がれるのが正しい
けれど、これからの未来においては、できるだけ一般の人たちも広くスタンダードを知ってほしいと思うし、せめてトリマーとしてお金を貰っている人たちはもっともっと勉強しなければならないと私は思うのだ
のだめカンタービレの話の中に、峰龍太郎という学生が出てくる
彼は当初「俺はヴァイオリンでロックを奏でるんだ」と自己陶酔した演奏しかせず、何度も何度もヴァイオリンのテストに落ちる
基礎を固めず、枝から覚えると、その枝の先の一部分しか理解することができない
けれど、根幹から覚えると容易にどの枝にも行けるし、幹に戻ることも可能なのだ
音楽にしろトリミングにしろ落語にしろ、オリジナリティの表現は基礎を固めてからすればよろしい