動物関連の職業もしくはボランティア活動のなかで、なにがいちばん世間に心優しく映っているのだろうか。
獣医師?
動物看護士?
盲導犬など介助犬の訓練士?
警察犬、災害救助犬などの訓練士?
家庭犬の訓練士?
犬猫のグルーマー?
ペットショップ?
動物愛護団体?
ペットシッター?
ブリーダー?
ドッグショーハンドラー?
動物園や水族館のスタッフ?
先日、「茨城県水戸市動物愛護」というNPOの55歳の理事長が動物虐待の疑いで書類送検されたという報道があった。
AIやらが発達して、シンギュラリティ(技術的特異点)が近いなどと言われているこの現代に、先進国である日本で、このように原始的で野蛮な人間がいるとはまことに残念なことである。しかしこういった人間はまだ少なからず存在するのが現状である。
そういう人間はあらゆる業界で見られると思うのだが、こと〝弱い者〟を相手にする職業に於いては特に誤解を受けることが多いように思う。
それは何かと言うと、『優しいふりをして実はウラであくどいことをしているのではないか』という誤解である。
例えば介護施設、保育所、学校など。
もちろん動物関連の職業も。
広い視野、高い視座で物事を見ている人はともかく、マスコミの不確かな情報に流されるタイプの人たちの中には、十把一絡げにそれらの職業をカテゴライズする人もいる。
先日私が実際に出会った人に言われた一言に、私は耳を疑った。
『君、トリマーの仕事してるらしいけど、どうせずっと犬を絞めあげて悪口ばっかり言いながらやってるんやろ?』
その場に同席していた私の友人が慌ててフォローしてくれたおかげで、私はテーブルをひっくり返すことなく済んだ(笑)
いや、たしかに、今回の茨城県の事件だけでなく、日本全国あちこちに存在するグルーミングサロン(トリミングサロン)で働く従業員のなかにそういう人間が一人もいないとは言いきれない。
事実、先日私の友人の経営するサロンの従業員がそういう人間だということが発覚し、解雇したという話を聞いたばかりである。
けれど、冷静に考えてほしい。そういう人間はほんの僅かである。
殆どのグルーマー(トリマー)は、犬が好きでこの職を選び、安い給料に耐え、汚れにまみれた子たちの心と身体を精一杯キレイにしてあげようと尽力している。
中には無理難題を言うオーナーに対して、時には寄り添い、そして時にはアドバイスや指導を行ない、それでも嫌われて自身の無力さに嘆く。
真摯に向き合えばどんな仕事でもそうであるように。
グルーマー(トリマー)という仕事は、ご愛犬だけでなくオーナー様との信頼関係の上に成り立つ職業である。
私たちを信じてほしいと伝えても、私たち自身が〝信頼してもらえるような努力〟を続けなければ、認めてもらうのはなかなか難しい。
《グルーマー(トリマー)は家族である愛犬のことを安心して相談できる〝ケアアドバイザー〟》という地位を確立するために、日々の小さな積み重ねを怠らずにいたいものである。