お預かりのイタリアングレーハウンドの話である。
名前はガーネット、通称がーちゃん。またはがーこ。
友人のわんこで以前から顔見知りなので、性格など大まかなことは大体把握していたのだが、一緒にお散歩に行くのは初めてだった。
私のビションフリーゼとも仲良くなったので、2頭連れでお散歩に行く。
うちの相棒は草のにおいや土のにおいを嗅ぎたがるので植え込みの方を目指すのだが、がーちゃんはよそのお家の玄関へまっしぐら。
はじめは「ああ、おうちが恋しくて、似たようなマンションに入ればおうちに帰れると思ってるのかな・・・」と思い、「がーちゃん、そこはお家ちゃうのよ、もうしばらくおるすばんがんばろね」と励ましていたのだが、どうやらマンションだけでもなさそうなのだ。
一戸建てにもごはん屋さんにもハウジングセンターにまで入ろうとする。
はじめは励ましていた私だが、関西人の性か、ハウジングセンターの自動ドアが開いた時には「いや、あんたに家は買われへんから(笑)」とツッコんでしまった。
どうやらがーちゃんにとってはすべての建物が自宅のようである。
かつて私も少しの間だけれどイタグレを飼っていた。鞭のような身体にしなやかな動き、そして愛くるしい瞳。
私はトリマーなので、被毛の手入れが必要な犬種はとても好きだしやりがいもあって楽しい。
けれど被毛の短い犬種の肉体美はまた別の魅力があるのだ。
イタグレやワイマラナー、グレートデン、ドーベルマンなどは、その姿を眺めているだけで十分に酒の肴になる。